毎年発表される「住みたい街人気ランキング(東京)」で常に上位を守る街、恵比寿。そんな恵比寿で古墳に収められていた石棺を再利用した阿弥陀如来像があると言うことで見に行ってきました。
JR恵比寿駅西口を出て、駒沢通りから渋谷橋交差点、明治通りを渋谷方面へ。
こんな賑やかな駅前から歩いて5分程度。目的の石棺像仏が奉られている福昌寺に到着します。
福昌寺は曹洞宗寺院のお寺で、僧桂岩嫩が創建したと言われていますが、創建年ははっきりしないそうです。
ただ、創建してからずっとこの場所にあり、長い間恵比寿の歴史を見守ってきたお寺ですが、その姿はとても現代的。コンクリートをメインに建てられた建物は、ぱっと見たところはお寺に見えないくらいです。
門をくぐって中に入ると、真正面にはさらに階段があり、その上には「福昌寺」の文字があります。
このお寺は本堂などのお寺を構成する建築物が2階にあります。1階は中庭のような広場と事務所と思われる窓口、それと端の方に、ひっそりと、今回の目的の石棺仏が置かれています。
これが石棺仏です。普通、仏様の像は立体的な人の形をしてる物が多いですが、この石棺仏はその名前の通り、石棺に掘られた仏様なのです。
石棺とは、主に古墳時代に亡くなった方を埋葬する時に使う石の棺ですが、それが時代を経て、仏様としてリサイクルされているということなのです!
この石棺仏が作られたのは南北朝時代(1336年~1392年)なので14世紀あたり、石棺が使われたのは古墳時代なので5~6世紀頃です。
と言う事は、約8世紀近くを経てのリサイクルということになります。とても壮大なリサイクル!
大きさは左右1メートル、高さ1メートル60センチ程度、石の厚みは一番厚い所で15センチくらいでした。上部のへこみは供物を置くために作られたものです。
隣に建てられた説明板によると、この石棺仏は渋谷区指定有形文化財に認定されているとのことです。
福昌寺の石棺仏は、石棺の蓋を利用しており、元々蓋の内側が全体的に凹型に窪んでいる所にさらにノミを当て、阿弥陀如来を彫った物です。うっすらと舟形の光背を背負った如来様は、ほかには例の少ない立像なのも特徴の1つです。
石棺仏は関西では多く見られますが、関東には埼玉とここ恵比寿の2カ所でしか見ることができない、貴重なものです。そんな貴重な物が住みたい街・オシャレな街の代名詞的な恵比寿、かつ現代的なお寺で見られるとは驚きです。
ぜひ、恵比寿に行った時は訪れてほしいスポットです。
旅データ
・アクセス:東京メトロ日比谷線 恵比寿駅から徒歩5分