旧芝離宮恩賜庭園(きゅうしばりきゅうおんしていえん)は、江戸時代に老中「大久保忠朝」が徳川家綱から拝領した土地で、小田原から庭師を呼びよせて造られた回遊式泉水庭園です。
当時は「楽壽園」と呼ばれ、園内は今も当時の面影を残しています。昭和54年には国の名勝にも指定され、桜のきれいなスポットとしても有名です。
場所はJR浜松駅から歩いて1分ほど。エントランスをくぐると…
静かな庭園が広がります。
旧芝離宮恩賜庭園は、近くに勤める人や住む人たちにとっては憩いの場。お昼休みなどに通う人も多く、外国人を含め観光客も多いので、入口には記念写真を撮るためのステージも用意されています。
訪ねたのは今年最後の雪が去り、春の日射しとともに桜の開花がはじまった頃でした。
園内に入り、まず目につくのが大きな藤棚です。花はまだでしたが、下にはテーブルがあり、日射しを避けながらくつろいでいる人たちを見かけました。
JRの線路側と平行に池沿いの道を歩いていくと、ほとりに大きな雪見灯籠が現れ、池の中央には中島が見えてきます。
中島には両岸から石橋と木橋がかけられていますが、木橋は現在修復工事中でした。
池には水鳥たちが多く、時には白鷺の姿も見かけることができます。岩の上では亀たちが日向ぼっこをしていました。
さらに奥に進んでいくと、ソメイヨシノに囲まれた広場に出ました。ちょうど六分咲きほどで人はまだ少なく、ベンチがたくさん置かれていて、のんびり頭上の桜が楽しめそうでした。
しかし、満開時のこの広場は、かなりの人出になるそうです。ソメイヨシノが終わると、八重のイチヨウやカンザンも咲きはじめます。
池の対岸にはあずまやがあり、そこからの桜を見るとお殿様気分になれそうですね。
さらに奥に進むと、大きなオオシマザクラが左右に枝を広げ、満開を迎えるところでした。
園内は、ほとんど大久保忠朝が造らせた当時のままなので、小田原から取り寄せた石による大胆な石組みや、
海水を池に引き入れていた「海水取入口跡」なども残されています(当時屋敷のまわりは海でした)。
中島周囲のいくつかの石橋も、鯛橋などそれぞれユニークな形なので、ぜひ渡ってみてくださいね。
旧芝離宮恩賜庭園では、桜だけでなく四季折々の花々も楽しむことができます。2〜3月には梅林が甘い香りに包まれ、メジロたちが蜜を求めてやってきます。
園内奥の芝生広場は、早春はスイセン畑になりますが、5月頃には豪華なシャクヤクの花の競演もはじまります。
桜が終ると、入口付近の藤棚は大きな紫のフサをたくさん下げて甘い香りを漂わせ、
水辺には菖蒲やカキツバタも咲きはじめます。
今では高層ビルに囲まれていますが、そんな場所にありながら静かに四季の自然を楽しめるのが旧芝離宮恩賜庭園の魅力です。再開発がさらに進み、ビルはさらに増えていますが、その景色が池に写り込む様子は、江戸と現代の融合です。
変化する都会のなかで、昔のまま大切に守られている大名庭園の美しさを、ぜひ一度見に行ってみませんか。
旅データ
- 入園料:150円
- アクセス:JR山手線・京浜東北線「浜松町駅(北口)」から徒歩1分
- URL:https://teien.tokyo-park.or.jp…