古いけれど素敵な建物、ときどき街でも見かけますよね。時代を経て、建物とそこに住んでいた人たちの時間が味わいになって、魅力的に感じるのかもしれません。
でも、建物を維持するのはお金も手間もかかること、壊されてしまうケースも多いようです。
海外では、何百年も昔の建物が現代でも住居になっている国もありますが、災害が多く木造建築が主流の日本ではなかなか難しいことなのかもしれません。
ところが、そんな建物が丸ごと移設されて、展示されている場所があるとか。さっそく、訪ねて見ることにしました。
それがこちら「江戸東京たてもの園」です。入口の建物がすでに素敵!それもそのはず。1940年に皇居前広場で行われた、紀元2600年記念式典のために建設された式殿だそうです。
ここで観覧料を払って園内へ。観覧料、一般400円とリーズナブルなのも嬉しいところ。
まずは地図を確認。広い敷地に建物が点在しています。すべてを見るとけっこう時間がかかりそう。1日かけてゆっくり見るか、お目当ての建物を事前にピックアップしておくのも良いかもしれません。
素敵な建物ばかりだったのですが、その中のいくつかをご紹介します。
こちらは建築家前川國男さんの自宅。最近話題のル・コルビジェの弟子としても有名な方だそうです。シンプル&モダンな建物、室内もまたカッコいい!
決して広くはないですが、開放的なリビングの吹き抜けなど、こんな家に住みたいと思わされるデザインでした。わたし的には、トイレがとくに素敵でした。
建築を勉強していそうな学生さんが、何人も熱心に見ていたのが印象的でした。
こちらは明治から昭和にかけての政治家、高橋是清さんの邸宅。とても重厚感のある立派な建物と庭園の美しい邸宅でした。教科書でも習ったあの2.26事件の現場になった、歴史的価値の高い建物だそうです。
そしてここが一番テンションのあがる、下町の商店街のようなストリート!レトロな醤油屋さん、生花店に文具店、旅館に乾物屋さん。
映画“ALWAYS3丁目の夕日”のような、どこか懐かしく、今にも昭和の子どもたちが飛び出してきそうな雰囲気です。
時間が止まってしまったかのような店内。昭和の空気感がただよっています。
こちらは乾物屋さんの店内。商品もそっくり再現されていて、かつお節が立ててある!?こんな風に売っていたのね…と、いろいろ勉強にもなりました。
最後はストリートの一番奥に、ひときわ存在感あるこの建物。まるで神社のような立派な造りですが、「子宝湯」という銭湯です。
銭湯といえば、富士山。りっぱな壁画と、高く広々とした天井。きっと多くの人でにぎわっていただろう当時のようすが目に浮かびます。銭湯がどんどん少なくなっているようですが、日本の文化として何とか残ってほしいものです。
レトロな建物で食事ができたり、駄菓子やむかし遊びのお店なんかもあって、本当にタイムスリップしたかのような気分を味わえました。
ただ建物を見せるだけではなく、そこに暮らした人たちの空気感を、細部にわたって伝えようとしている感じが、とても素敵でした。
外国人観光客の方もたくさんいて、こんな素敵な日本を知ってもらえることをちょっと嬉しく思いました。東京から「江戸東京たてもの園」のある武蔵小金井までは、電車とバスでおよそ1時間、充実の小トリップでした。
旅データ
- 入園料:400円
- URL:https://tatemonoen.jp/