汐留の高層ビル群を背景にする「浜離宮恩賜庭園」は、江戸時代に徳川将軍家の庭園として活用され、「浜御殿」「浜御庭」とも呼ばれいます。
旧芝離宮恩賜庭園や清澄庭園などとならび、海水を引き入れた「潮入の池」をもつ、代表的な海辺の大名庭園です。
かつて寛永年間(1624〜1644)までは、将軍たちが鷹で鴨を狩る御鷹場で、当時将軍が利用していた3つの御殿が復元されました。
約25万平米の庭園をゆっくり楽しむには、1時間半ほどはかかりますが、今回は冬場の一番の見どころの梅林とその周辺をご紹介します。
園内には16種類ほどの梅の木があり、園内全体では約130本、梅林だけでも90本ほどの梅の木が植えられています。
浜離宮恩賜庭園には、2つの入り口があります。
築地場外市場に近い「大手門口」と、JR浜松町駅からも徒歩圏内の海岸通りに面した「中の御門口」です。
桜の時期は中の御門口が便利ですが、梅の季節は大手門口から入園されるのをおすすめします。
築地川にかかる大手門橋を渡ると大手門口です。
入園料(一般300円)を支払って園内に入る時は、広い庭園なので園内ガイドをもらっておくとよいですよ!
まず目の前の「満月枝垂」の白梅がむかえてくれました。
進むとすぐ左手に、6代将軍家宣が庭園を改修した際に植えられたという、この庭園のシンボルでもある「三百年の松」が歴史を感じさせます。
築地川にそって、「藤牡丹枝垂」
「白滝枝垂」
かわいらしい一重の「紅千鳥」がならんでいました。
さらに進むと、菜の花畑が見えてきます。野鳥が遊び、ハチが舞い、ここだけ春が先に来てしまったようです。
この日、たくさんのムクドリが花畑に集まっていましたが、おいしいエサ見つけたのでしょうか。
菜の花は満開の時期が2度に渡って楽しめるように、畑の種まきを2回に分けて行っているそうです。
この時は前の年の10月28日に種まきをした菜の花が、満開をむかえていました。
菜の花畑にそって梅の木がならんでいるので、梅の紅白と、菜の花の黄色と、楽しい色のコントラストが楽しめ、写真を撮る方にはおすすめのポイントです。
その先には、園内では趣がことなる歴史を感じる「旧稲生神社(きゅういなみじんじゃ)」があります。
鳥居の両側には、八重の薄桃色とたわわにつぼみをつけた白梅が古い神社を見守るように植えられていました。
旧稲生神社のあたりから広い梅林がはじまります。
菜の花畑の周辺は、周囲に梅の木を日光から遮るものがないので、早い時期に開花がはじまりますが、梅林は近くに高木も多く日照時間が短いため、開花が遅くなるのだそうです。
訪れた2月中旬にいち早く咲きはじめていたのは、「思うがまま」とよばれる品種でした。
正式には「輪違い(りんちがい)」という品種で、1本の木に紅白別々の花をつける枝があったり、ひとつの枝に互い違いに紅白の花が咲く、見ていてもとても楽しい品種です。
ほかにはガクが緑の「緑萼(りょくがく)」や、八重咲きで淡いピンク花がまん丸く桜「見驚(けんきょう)」などが咲きはじめていて、2月末に満開をむかえる種類もたくさんありました。
梅林は島状になっているので、周囲をぐるりと歩きながら、ゆっくり梅の花を堪能してくださいね。
梅林が終わるあたりに、車イスでも利用できる多機能トイレがあるので、広い園内をまだまだ楽しみたい方はお立ち寄りください。
トイレのならびはTOKYO CRUISEの「水上バスの発着所」です。
浜離宮からは、日の出桟橋・浅草・お台場海浜公園行きの水上バスが運航しています。
浜離宮から浅草までの隅田川を上るルートは、所要時間約60分で一般料金800円です。
写真の船はリバータウンという名称ですが、ほかには赤が基調の竜馬や姉妹船の道灌(どうがん)なども停泊します。
川の流れに乗って船で都会を移動するのは、気分もゆったりするのでおすすめです。
船の発着場から東へ足をむけると、かつての江戸湾、現在の東京湾と園内との海水の出入りを調節する水門(樋の口)があります。
小高い「新樋の口山」で、海辺へ出ると隅田川側には築地大橋が、東京湾方面にはレインボーブリッジも見渡せます。
梅が終われば桜の季節がはじまり、ソメイヨシノのあとにはさまざまな種類の八重桜でにぎやかになるのも浜離宮恩賜庭園ならではです。
4月後半になると、菜の花畑近くのボタン園の豪華な大輪の花も見所です!
泉水式庭園と御茶屋を中心に、四季折々の表情が楽しめる浜離宮恩賜庭園を、将軍の気分でお楽しみください。
- 入園料:一般300円
- 開演時間:9:00~17:00
- 休園日:年末・年始(12月29日~翌年1月1日まで)
- アクセス:〈大手門口〉都営大江戸線「汐留」「築地市場」ゆりかもめ「汐留」徒歩7分、〈中の御門口〉都営大江戸線「汐留」「築地市場」ゆりかもめ「汐留」徒歩5分、JR山手線・京浜東北線「浜松町」徒歩15分
- URL:https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index028.html